神社本庁では、以下を綱領として掲げています。
敬神生活の綱領
神道は天地悠久の大道であって、崇高なる精神を培ひ、太平を開くの基(もとい)である。神慮を畏(かしこ)み、祖訓をつぎ、いよいよ道の精華を発揮し、人類の福祉を増進するは、使命を達成する所以である。ここにこの綱領をかかげて、向ふところを明らかにし、実践につとめて、以て大道を宣揚することを期する。
一、神の恵みと祖先の恩とに感謝し、
明き清きまことを以て祭祀にいそしむこと。
一、世のため人のために奉仕し、
神のみこともちとして世をつくり固め成すこと。
一、大御心をいただきて、むつび和らぎ、
国の隆昌と世界の共存共栄とを祈ること。
神社神道には「教義」がないとよく言われていますが、「綱領」があるのです。
神社には初めから「制定教義」というようなものはないが、神社信仰として古来尊重されてきた要点を列記して、実践の規範とすべきであるという考えに基づくものです。
この綱領は神道教学そのものではなく、「生活」という語句からわかるように神社信仰における実践生活の規範を示したものであるところに特色があります。
文章は短く簡潔ですが、神道精神のエッセンスが凝縮された内容です。
この「敬神生活の綱領」は我々神道人が集って式典等の折りには必ず唱和するので神職なら必ず暗唱できるくらい親しみのあるものですが、一般的には神事の際にも聞かれずあまり馴染がないのではないでしょうか。しかしその内容は単に神職に向けられたにとどまらず、全てのひとにとって道となり、日常生活に役立つものとなっています。
神道について単に知識を深めるだけでは大道に近づいたとは言えません。生活の中で実践すること、その内に進む道があります。